人間関係学科

ケースメソッドI

ドラマや漫画に登場する
女性の働き方を通して
現代社会に生きる
自分の就業観を見つめ直す。

学びたいテーマを選択する演習科目

「ケースメソッドI」は、人間関係学部の3・4年次に学ぶ少人数制の演習授業です。学生たちが自らの「モジュール」に従って選択する授業の一つでもあります。モジュールとは、人間関係学部ならではの学びのパッケージのこと。幅広い領域に渡って授業が開講されている人間関係学部で、専門科目を体系化したモジュールの組み合わせを選択していくことによって、4年間の学びの方向性を明確にすることができます。自分の専門分野を見つけ、卒業後の活躍につなげていく履修方法です。

担当教員別に多彩なテーマで開講されている「ケースメソッドI」のうち、小倉祥子先生の授業のテーマは、「女性の職業生涯について」。「プレゼンテーション準備」の回を迎えた今日は、グループごとに集まった学生がパネルを前にして思い思いに原稿を読み上げ、リハーサルに余念がありません。次回の最終授業では、この半年間でまとめた内容を他のグループの前で発表することになっているためです。

B1パネルに描き出す、働く女性の昔と今

学生たちはこれまで、小説・映画・漫画などに登場する「職業を持って働く女性」について調査を重ねてきました。具体的な仕事内容や時代背景について調べ、当時の労働状況や就業観と現在とを比較。その結果を、工夫を凝らして発表用のパネルにまとめ上げました。

たとえば、あるグループは、明治時代の紡績工場で働く女性の1日を表したタイムスケジュールと現代女性の1日を、パネルに対比して表示。その背景となる法律の違いや日本の産業の変遷など、参考資料をパネル下部に配置しました。

このパネルづくりの難しさは、限られたスペースに調べた内容を取捨選択、いかにわかりやすくまとめるかにあります。データはグラフや年表、イラストで表現し、見やすく配置する工夫が欠かせません。発表には10分という制限時間があり、口頭で説明する内容の整理も必要です。あらかじめB3サイズの用紙に下書きし、中間発表会で得た他のグループからの意見も反映して、ここまで完成度を高めてきました。

グループ作業を通じた人間関係のトレーニング

授業中、小倉先生はこまめに学生たちに声をかけて、気づきや発見へと導いていきます。特に気をつけているのは、根拠となる資料の収集方法。必ず政府発表の統計データなど信頼できる情報を使うようにアドバイスし、必要な資料が見つからない場合は、「調べて作ってみよう」と助言。あるグループは、高度成長期の女性の就業観を知るために、メンバーの祖母から当時のことを聞き取りました。また、政府が公表する「白書」の元データを探し出し、新たな切り口で読み解いたグループもあります。このような試みを重ねて、最初は「データって自分で作れるんですか」と驚く学生たちも、卒業論文の作成に使えるスキルを修得していきます。

この授業の目標は、それだけではありません。初めて顔を合わせたメンバーとグループをつくり、お互いの意見をすり合わせてまとめる作業は、一つの「挑戦」。1年次から学んできたコミュニケーションの知識をフル活用して、人間関係のトレーニングを実践することも狙いのひとつです。

人間関係学部 人間関係学科 小倉 祥子 教授

多様な生き方を知り、
人生の可能性を広げてください。

人間関係学部 人間関係学科 小倉 祥子 教授

私たちは、育った家庭地域・時代で培った価値観を当たり前に受け入れて生きています。しかし、実際の社会はさまざまな生き方や価値観、ライフコースをもつ人たちで構成されています。「ケースメソッドI」では、大学の同級生という属性をもつ他人と一つの目標に挑み、完成させるという成功体験を共有します。この経験は、卒業後に職場や地域で多様な考えをもつ人たちと関係を築く際に必ず役立つことでしょう。また、女性の職業に関する事例研究を通して、例えば育児休業など、今ある労働環境は先人たちが努力して得た結果であること、自分たちも後に続く人たちにさらに働きやすい環境を受け渡す立場であることを知ってほしいです。歴史ある椙山女学園大学では、多彩な業界で活躍する先輩方の体験談を聴講する機会も豊富に用意されています。多様な生き方のロールモデルを知り、人生にたくさんの可能性を見出してください。

※この記事は、2018年度の授業内容を取材したものです。