子どもが周囲からどんな影響を受け、発達していくかを学ぶ

子どもが環境の中でどう発達し、周囲の関わりがそこにどんな影響を与えているかを理解する授業です。赤ちゃんは最初、自分と外部環境との区別があまりついていません。手足を口で吸って感触を確かめながら自分の体をイメージし、やがて自分自身の意識が生まれて「こうしたい」という欲求が出てきます。それが1〜2歳の「いやいや期」で、子どもの自己意識が芽生える大切な時期となります。このような発達心理学の理論と実際の子どもの様子を結びつけるため、映像を見て納得しながら学んでいきます。ただ、子どもの状態はさまざまな要因で変わるため、すべてを映像で確認することはできません。この授業では子どもの様子を見て自分で考えることができるよう、何に注意をすればよいかを説明し、観察する力をつけていきます。

子どもの興味を引き出し、学びにつなげるための環境整備

子育てには多くの喜びがありますが、「いやいや期」のように、親にとって大きな悩みとなることも少なくありません。日本の子育ては母親の負担が大きくなる傾向が強いため、父親の育児休暇取得率や世界の子育ての状況など、育児をめぐる環境についても学びます。親になることの意味や、働きながらの育児など、学生たちは真剣に話を聞いていますね。また、苦労するお母さんの声を紹介し、そのとき子どもはどんな発達段階にあるのかを確認したり、家庭だけではなく保育園の様子を見て、保育者がどのように考え、行動しているかを学んだりします。保育園では、縄跳びをしながら数を覚えるなど、子どもの興味を喚起しつつ学びを引き出せるように環境を整えています。そういったノウハウを知り、将来の仕事や子育てに役立ててほしいと考えています。

見守りながら、行動の背景にある理由を考える

お弁当の時間に4歳の子どもが「食べたくない」と言い出し、先生がどう対応するかを撮影した映像があります。先生は食べないことを容認して見守りますが、それを見た学生は「怒らないんだ」と驚きます。保育園や幼稚園では、このように子どもを静観し行動を待つという方法がよくとられます。そしてなぜ食べないと言ったのか、その背景を重視します。このケースの場合、先生と子どもがべったり密接だった時期から年齢が上がり、少し距離をおくようになったときでした。それが子どもの不満となり、態度で示していたのです。その後、先生は子どもと一緒にお絵かきをすることでフォローをしました。子どもがどの程度自覚しているかはさまざまですが、行動の背景には彼ら・彼女らの考えがあります。こういった実例を通して確認すると納得感があり、先生の役割をよく理解することができます。

人間関係学部 心理学科 浦上 萌 講師

子どもたちのエネルギーに触れ、
成長の楽しさを知る。
それを通して、
自分自身の人生も豊かにしてほしい。

人間関係学部 心理学科 浦上 萌 講師

心理学の一分野として子どもの発達を取り上げることはよくありますが、この大学では、子育てにまで広げて捉えているところに特徴があります。学生にとっては、将来自分が向き合うかもしれない身近なテーマといえるでしょう。子どもは何をするにも全力投球で、そのエネルギーは目を見張るものがあります。子どもの想像力の豊かさや、何事も吸収してしまう成長の速さを目の当たりにして、人間という生き物の素晴らしさを実感してください。大学で学ぶ知識はすべてのベースとなる大切なものですが、多くの事例があるうちの一般的な理論であり、現実ではズレが生じることも少なくありません。観察する力を大切にしているのはそのためです。子育てや仕事、また日常生活で子どもと触れ合う機会があったとき、今まで学んだ知識と経験から相手をしっかり見守り、背景を読み取れるようになってほしいと思います。そして子どもの発達に関心を持ち、自分自身もさまざまな影響を受けて、人生を楽しんでほしいと願っています。

※2019年度実施授業