子ども発達学科

子どもの発達心理学Ⅱ

先生であることの
責任の重さと素晴らしさ、
その両者を実感し
夢を描くための4年間。

グループで試行錯誤し、発表にのぞむ

子どもの心身がどのように発達し、それが学習にどう影響するか、障がいのある子どもについても含めて学びます。この授業は3年次以上が履修するため、学生はすでに基礎を学修済み。そのためより主体的・実践的に学べるよう、グループ発表を中心に授業を行っています。示された中から関心のあるテーマを選び、グループで調べて発表資料にまとめる事前学修、授業での発表とクラスメイトからの質疑応答、そして質問に答えられなかった内容を調べなおす事後学修までがワンセット。前半は今までに学んだ内容の復習を兼ねますが、後半は0歳〜5歳までの「各年齢の特徴」という新しいテーマで行います。その時期には学生も保育園や小学校での実習を積んでいるので、実体験を踏まえ内容が充実してきます。なかにはクイズを取り入れるグループもあり、よく工夫していますよ。

調べ、発表し、質問することで実践的な力を得る

グループでひとつのことを調べ、発表することで、一人が持つ知識や経験を全員で共有することができます。聞く側ものんびりはしていません。質疑応答で疑問や質問を投げかけ、発表を5段階で評価します。学生からは「そのとき子どもはどう感じていた?」「大人がとるべき対応は?」などなかなか鋭い質問が出るため、発表した側は、自分たちの資料に何が足りなかったかを自覚することができます。また、「字が小さくて読みづらい」「このイラストはわかりやすかった」など具体的な感想も出されます。これは、先生として教材をつくり授業を行うための重要なトレーニングとなります。他者と協力しながら資料をまとめ上げる力、質問に対して誠実に対応し的確な答弁を行う力、内容を理解して質問し、相手を評価する力。これらはすべて、保育者や教員が持っておくべき資質です。

子どもの発達を理解していなければ、教えることはできない

子どもの発達心理は、保育者や教員にとってすべてのベースとなる知識です。算数の授業でも、子どもが数字をどう認識しているか理解していなければ教えることができません。発達障害などについても同様です。子どもが「わからない」と言うと、「わからないのは子どものせい」としてしまいがちですが、原因は教える側にもあります。それを知っていれば自分の教え方にも改善できる点があることに気づき、より良い方法を調べることができます。「結論を先に言う」「順番をイラストで説明する」、着替えをするとき、服を脱ぐ順番にこだわりがあるような子どもには「こだわりを大切にしてあげる」など、できることは数多くあります。子どもたちが気持ちよく生活するためには何に注意すべきかを常に気にかけ、異変があれば早く気づくこと。そして問題を見出したときは、必要に応じて療育など適切な支援へ結びつけることが大切です。

教育学部 子ども発達学科 石橋 尚子 教授

黒板を背にすることの責任は
想像以上に重い。
それだけに、子どもたちから
素晴らしいフィードバックがある。

教育学部 子ども発達学科 石橋 尚子 教授

先生とは、子どもの前に立って「黒板を背にする」職業です。その責任を負うためには十分な知識と経験が必要。実際、保育や教育の現場に立つとたくさんの悩みが出てきます。技能や技術に関しては、数多くのマニュアルや見本があるため後からいくらでも身に付けることができます。それよりも一番大切なのは「子どもが好き」という気持ち。例えば授業中、部屋を暗くして映像を見ているとうっかり居眠りしてしまう学生がいます。授業がつまらなくて寝てしまうなら、それは私の責任。でも子どもの映像が流れているときにぼんやりしていられる学生は、先生に向いているでしょうか。子どもを目の前にしたら何があっても興味を持つ、先生になるのはそういう人であってほしいと願っています。そして現場では子どもの味方になり、ときには戦うぐらいの気構えがあってもいい。先生は大変な職業ですが、真剣に取り組めば子どもたちから苦労を上回る「おかえし」が返ってきます。子ども発達学科にはそんな現場の素晴らしさを知る教員が多数在籍し、教職への愛にあふれています。先生をめざす学生が将来の夢を描くために、とてもいい環境が整っています。

※この記事は、2019年度の授業内容を取材したものです。