管理栄養学科
食品学実験I
いつも口にする
食べ物や飲み物が持つ
意外な事実を知ることで
ワクワクが生まれる。
実験機器に慣れることからスタート
食品にはさまざまな成分が含まれており、食品成分について学ぶにはそれぞれがどんな性質を持っているか知ることはとても重要です。この授業は、それを調べるために必要な基礎的な実験技術を身につけることも目的のひとつ。1年生ではまず試薬や器具の適切な取り扱い方を知り、水溶液の作り方、滴定の仕方など基本操作に慣れるよう指導しています。最初はこわごわ操作していた学生も、学期の後半になると自ら進んで実験器具を揃えられるようになり、そして次年度にはより高度な実験ができるようになっていきます。
事前に座学で学んだ食品知識について実験を通して確認し、より深く理解する形なので、扱う食材はさまざま。清涼飲料水にどのくらいの糖質が入っているか、液体が光を吸収する度合いで測る実験なども行います。

実験を通し、深く考える思考力を身につける
授業では最初に先生が見本を示し、その後グループにわかれて実験を行います。言われた通りにやったつもりでも、失敗してしまうことはあるもの。そんなとき「大切なのは、なぜ失敗したかを考えること」と保田先生はアドバイスしています。試薬を1つ入れ忘れたから違う結果になってしまったというのなら、「手順を間違えたから」だけではなくなぜそれを入れないと結果が出ないのか、入れたときとの差は何なのか、論理的に考察し実験ノートにまとめることで学びが深まります。そうすると「水分量が予測と異なったのは、適切な条件で実験を行っていない上に、雨で湿度も高く、食品が空気中の水分を吸いやすかったからかも」など、周囲の環境まで視野に入れて考える学生も出てきます。論理的に考えることができるようになれば後は応用次第。さまざまなことに対応できる柔軟性が芽生えてくるのです。

身近な食材から化学的な興味を引き出す
授業では硫酸や水酸化ナトリウム、引火性のある有機溶媒など危険な試薬も扱うので、緊張感は大切。グループワークとはいえ、一人ひとりが役割と責任を持ち、手の空いた学生が次の準備を進めるなど、テキパキと手順をこなします。そして自分が行った実験の結果を目の当たりにし、その原理を知ると、「食材からあんなことやこんなことがわかるんだ」ととたんにワクワク感が生まれてきます。いつも口にする食品の意外な一面を知り「面白かった」「成長できた」という感想が出るのもこの授業ならでは。4年生の卒業研究では先生と話し合いながら実験方法から自分で計画し、実験を進めるようになるので、そのときにここで学んだワクワク感と基礎的な技術が生きてくるのです。


※この記事は、2018年度の授業内容を取材したものです。