身近に接してきた作品が持つ意味を、あらためて考え直す

メディア文化論は、情報の作り手とそれを受け取る人、その関係を生む社会背景などに着目した学問です。幅広い内容がテーマとなりますが、授業では、ファッションやゲーム、アニメ作品などマスメディアを通じて広がるものと、美術の展覧会や将棋大会など、メディア系の企業が後援する類のものを扱います。比重としては前者が高め。なぜなら、これらは学生たちが小さいころから身近に接してきたものであり、それを通して現代社会を見ることでメディアの意味や価値、受け手の姿勢などを実感として理解することができるからです。2004年に放送が開始された女児向けの長寿アニメシリース、アイドルもののマンガがアニメ化された作品、ファッションを切り口にしたアーケードゲーム、プリクラ文化、“盛り”のファッション文化、Youtuber文化などを取り上げます。

現代社会とリンクしたテーマ性を発見し、理解する

ゲームやアニメ作品は、それぞれが時代に応じたテーマを持っています。例えば、ある女児向けアニメ作品は「男女に差はない」をコンセプトとしています。現代社会で不利な立場に立たされやすい女性が自分の力で道を拓く、そして逆に、男らしさの定義にしばられない男性も受容する。ジェンダーや多様性など深刻な社会テーマとリンクしているのです。そこがフォーカスされたこんな事例にこんな例があります。ある宿泊施設が女児にはこのアニメをテーマにした部屋、男児には特撮ヒーローをテーマにした部屋を勧める広告を打ちました。ところがこれがSNSで炎上。男女差を否定する作品のコンセプトを無視し、女はこれ、男はこれと決めつけた点に非難が集まりました。数十年前であれば問題にならなかったかもしれませんが、ジェンダー意識が高まる現代では炎上に結びついてしまったのです。

「炎上」か「イメージアップ」か。その境界を見極める

この「炎上」も、現代メディアを語る上で重要な現象です。献血ポスターにグラマラスな魅力を強調したアニメキャラクターを採用し、炎上したケースもそのひとつ。アニメ作品のファンに向けて興味喚起をはかるには良かったかもしれませんが、不特定多数の人の目に触れたため炎上しました。このように、最近はTPO(時・場所・場合)にそぐわないという判断が炎上を呼ぶケースが増えています。一方で企業がキャラクターを活用し、イメージアップにつながった例も数多くあります。老舗企業が創立100周年を記念して人気ゲームのキャラクターとコラボした例や、 銀行がアイドルグループをCMに起用した例、市役所のイメージキャラクターなどがそれです。企業や行政の戦略に組み込まれたキャラクターは好意的に受容され、文化として定着してきました。このように文化を構成する個々の作品や事象を理解し、社会の中でどう位置付けられるかを考えること。これは広告やクリエイティブ業界をめざす学生だけでなく、社会に出るすべての学生に理解しておいてもらいたいテーマです。

文化情報学部 メディア情報学科 メディア文化論 太田 智己 講師

現代のポップカルチャーは、
ハイカルチャーをしのぐ
存在感を持つ。
それを理解し、
使いこなす人になってほしい。

文化情報学部 メディア情報学科 メディア文化論 太田 智己 講師

ファッション・ゲーム・アニメ・アイドルなどのポップカルチャーは、文学や芸術などのハイカルチャーに劣るもの、と長い間捉えられてきました。しかし現代ではその価値が研究され、社会の中心に躍り出て企業のイメージアップや売上に大きく貢献するようになっています。先に示した例の他、2016年のリオデジャネイロオリンピック閉会式では日本の首相がゲームキャラクターに扮し、注目された例もあります。文化をどう活用するかは多くの企業、そして政府にとっても大きな課題となっています。この学科では、メディア文化論のほかにもメディア社会論、メディア心理学、ジャーナリズム論などを大きな柱として据え、理論と実践の両面から学ぶことができるカリキュラムを提供しています。広い視点から社会を見渡す方法を学び、自分が望む将来をつかみ取って社会に飛び出して行ってください。

※2019年度実施授業