現代マネジメント学科

マクロ経済学入門

経済学の基礎理論を
体感的に身につけ、
今後の学びのペースを築く。

1億円の重みから日本の経済規模を考える

授業の冒頭、担当教員である水野英雄先生が取り出したのは、1万円札がぎっしりと並んだ重さ10㎏の塊。札束1億円分の大きさと重さを表す模型です。大学生にとって、ぼんやりとしたイメージでしかない1億というお金。めいめいに抱えてみて、そのボリューム感を確かめている学生たちに、水野先生が語りかけます。「卒業後、皆さんは大体この三つ分を稼ぐことになります。大卒者の生涯賃金は約3億円ですから」。

こうして、身近なお金として1億円の重みを体感しておくことは、それをはるかに上回る日本のGDP約500兆円という金額から日本経済全体の規模を把握することに役立ちます。『マクロ経済学入門』は、一国の経済に着目し、その規模や動向を正しく見る目を養う授業。景気の良し悪しや失業、物価などについて検証していきます。主に市場や企業活動から経済を考える『ミクロ経済学入門』と並んで1年次に配置されており、今後積み上げる経済学の学びのベースとなります。

現代マネジメント学部ならではの「ビジネスの視点」

授業中、水野先生は教科書のポイントをわかりやすくまとめたパワーポイントで、必ずいくつかの写真を提示します。たとえば、数千万円するような高級車の写真の数々を見せながら、「景気が良い時と悪い時では、売れるものが全然違います」と解説。景気回復を見てとることができる一例として、最近の日本では高価な自動車が売れていることを示します。一方で軽自動車の販売も好調であることからは、市場が二極化する状況について検証しました。

経済状況は常に変化するものです。時代の流れを正しく認識してビジネスを行うためには、GDPの大きさや失業率などのデータ指標だけでなく、現実の事象を体感として捉えることが欠かせません。このように、経済の動きを自らの行動やビジネスに反映できる視点を育てるのが、現代マネジメント学部で学ぶマクロ経済学。さまざまな国の経済状況についても知り、海外市場へのアプローチを考える目を養います。

地域の課題解決を考える入口となる学び

長らく日本は世界第2位の経済大国でした。しかし現在、中国のGDPは日本の約3倍となり、大きく差をつけられています。授業では、このような国際比較も取り入れて経済状況を判断していきます。さらに、アベノミクスを検証するなど、国の経済政策の評価も行います。政策の効果を見極め、景気など国の経済動向を読んで正しく対処できる能力を身につけておけば、ますますの人口減少社会を迎える日本でビジネスや人生設計を進めていく助けとなります。

こうして経済学の基礎知識を一通り学んだ『マクロ経済学入門』の最終授業では、「地域の課題解決の方策の検討」に取り組みます。これまで勉強してきた内容を自分が暮らしている地域にどのように活かしていくのかという応用課題であり、『マクロ経済学入門』のゴールでもあります。授業では地域の課題をレポートにまとめることで、2年次以降のゼミ活動につなげ、さらに学びを発展させることが可能です。

現在マネジメント学部 現代マネジメント学科 水野 英雄 准教授

経済学の第一歩を、
おいしい味付けを施した授業で

現在マネジメント学部 現代マネジメント学科 水野 英雄 准教授

国の経済状況と個人の生活は無関係ではありません。経済の変化が激しい現代社会を生きていく助けとなるのが経済学です。今後どのような分野の職業に就くことになっても必ず役立つ学問であり、実学です。そのため、椙山女学園大学では、経済学の理論と実際とを結びつける体験型学習を重視しています。参加を希望する1年生が星ヶ丘三越や名古屋市内のトヨタ自動車レクサスの店舗を見学する課外授業はその一例。授業で学んだ理論が現実の社会でどのように展開されているのかを肌で感じる貴重な機会となっています。授業においても、「株式投資ゲーム」やグループワークなどの体験的な学びを取り入れています。実は、これらの活動は授業の「おいしい味付け」としての役割も果たしています。苦手意識を持つ学生も少なくない経済学。その第一歩となる『マクロ経済学入門』で、経済学の魅力に触れ、経済問題に端を発したあらゆる問題に対処できる力を身につけてほしいと思っています。

※この記事は、2018年度の授業内容を取材したものです。